教育や人財育成がテーマの沖縄県内最大級のカンファレンスイベント【LEAP DAY 2024】が12月14日-15日の2日間、那覇文化芸術劇場なはーとで開催されます。
今回の記事ではLEAP DAYの思いに共感し、支援をしてくださっている株式会社沖縄銀行様の取り組みについてご紹介いたします。
おきなわフィナンシャルグループ
株式会社 沖縄銀行
法人事業部 地域活性化グループ
法人戦略チーム 調査役
神谷 真吾 様
多様な興味を活かすキャリア選択〜理系出身者が銀行で見つけた挑戦とやりがい〜
ーー本日はインタビューよろしくお願いいたします。早速なんですが、神谷さんの自己紹介とこれまでの経歴を教えてください。
よろしくお願いします。私は平成21年に銀行に入行し、今年で15年目になります。最初の7年間は営業店で勤務し、その後本部に異動してからは8年目を迎えています。
本部に異動してからは、銀行以外への外部出向を経験しました。2年間、沖縄県のシンガポール事務所に出向し、東南アジア域での沖縄ブランドの認知度向上や、県内企業の東南アジア進出をサポートするための販路拡大支援に携わりました。
出向を終えて沖縄に戻ってからは、自治体関連業務を経て、現在はスタートアップ関連の業務を中心に取り組んでいます。
ーーありがとうございます。出向のお話がとても気になるんですが、まずは神谷さんが沖縄銀行へ入行を決めた理由をお伺いしたいです!
大学時代、親元を離れて自立したいと思い、県外の大学に進学しました。理工学部でシステム工学を学んでいたこともあり、最初はシステムエンジニアを目指して、九州や関西のメーカーでの就職を考えていました。
そんな中、福岡の就職フェアに参加した際、偶然同じ会場で沖縄の就活フェアが開催されており、そこで沖縄銀行のブースに出会ったのが大きな転機となりました。
この出会いから「Uターン就職もありかもしれない」と考えるようになり、銀行業務に興味が湧いてきました。
県外に住んでいたため、同じ大学出身の先輩を訪ねて県外の銀行へOB訪問を行い、銀行という業種について理解を深めました。
また、帰省した際には沖縄銀行を含めた複数の銀行で職場訪問をしました。
そうして金融業務についての理解が深まるにつれ、銀行の仕事に魅力を感じるようになり、最終的に沖縄銀行への入社を決意しました。
ーー理工学部から銀行に入行するなんて面白いですね!正直、理系の方が銀行員を選ぶイメージがあまりないので、驚きました!
そうですよね。銀行は文系の人が多いと思われがちですが、実際に入行してみると、意外と理系と文系が半々くらいなんです。
銀行では、理系出身者が得意とする論理的な思考が求められる場面も多いですし、経済学部などの文系の方が得意とする金融知識も必要です。おそらく人事もそうしたバランスを見て採用しているのだと思います。
ですので、「銀行は文系」というイメージにとらわれる必要はないと思います。
また、理系で培った論理的な思考力が、銀行の仕事でも非常に役立っています。特に数字を扱う場面では、大学時代の経験が活かされていると感じますね。
ーー理系と文系が半々なのは意外でした!ちなみに、元々は銀行に絞って就活をしていた訳ではなかったのに、最終的に銀行に決めた理由はなんでしょうか?
おっしゃる通り、就職活動ではさまざまな業種を見ていました。県内の大手企業を含め、卸業者やハウスメーカーなどにも興味があり、どこに進むべきか結構迷っていたんです。
そんな時、銀行の先輩から
「銀行は、いろいろな業種と取引できるし、広い分野を学べる。だから、多くのことに興味があるなら、銀行が向いてるよ」
と言われたことが、銀行を目指すきっかけになりました。
実際、銀行では若年行員のうちから企業の社長さまと直接話をする機会があります。例えば、100名や200名規模の企業となると、他の業種では若手社員が社長と話す機会はとてもハードルが高いと思います。
でも、銀行員という信用があるからこそ、若手の行員でも社長の話をリアルに聞くことができ、その業界を深く理解できる。そうした経験が得られることに強く惹かれて、最終的に銀行への就職を決めました。
銀行員としての挑戦と海外出向の経験
ーーお話を伺って、神谷さんは無理に興味を絞らず、さまざまな業界に関わることができるという観点で銀行を選んだ点が、とても面白いと思いました。先ほどお話に出た海外出向についても詳しく聞きたいのですが、よろしいでしょうか?
もちろんです!ただ、正直に言うと、沖縄銀行に入ったからといって「海外支店があるからそこで働ける」というわけではありません。
私が出向した当時は、沖縄県が国際物流拠点を目指してシンガポール事務所を設立したばかりであり、民間企業とも連携した販路拡大支援などの打診があり、たまたま声がかかったということがきっかけでした。
銀行業務とは、お金を預かってご融資をして資金還流を図ることが従来のビジネスモデルでしたが、昨今ではお客様へご融資するだけでなく、コンサルティング業務など深く関わることが求められています。
ご融資した企業が成長し、業績が100%から120%、130%と伸びるような支援をすることで、双方がWinWinとなることが重要です。
また沖縄銀行では、お客様の販路拡大などの本業支援を行い、地域発展及び活性化を支援する目的で地域商社みらいおきなわを設立いたしました。
そのような背景から、コンサルティングの知識や経験を積む目的で出向することもあります。銀行員の中には、県外の銀行やさまざまな業種・業態へ出向している人も少なからずいます。
「銀行に入れば海外に行ける」というわけではないかもしれませんが、そうしたチャンスはありますので、積極的に挑戦してほしいと思います。
ーー以前にも「海外から沖縄に戻ってきた」という銀行員さんにお会いしたことがあり、「銀行=地元にいる」という考えは違うんだなと感じました。
実は、私自身は英語が得意だったわけでもなく、当時はパスポートすら持っていませんでした。ただ、海外への出向の話にかかわらず、入行後、様々なことに積極的にチャレンジしてきました。
海外についても学生時代から漠然と興味をもっており、声をかけられたときは二つ返事で引き受けました。
県内企業とスタートアップの成長を支える
支援業務
ーー現在の業務についても詳しくお伺いしたいです!また、業務に関してやりがいを感じていることなどもお聞かせ下さい。
現在私が担当している事業は、主に県内の事業者様の販路拡大支援やスタートアップ・ファンド運営関連の事業です。例えば、商談会などのイベントを通じて、県内企業の業務効率化の課題に対してDXを通した改善機会を提供したり、スタートアップ関連企業の成長をサポートする業務を行っています。
また、FROGSや県内大学、OISTなどの外部機関との連携窓口も担当しています。
商談会では、直接事業者の販路拡大や売上向上に繋がることが多く、一緒に成果を達成できたという達成感がモチベーション向上に繋がっています。
スタートアップ関連の支援は、これまでの銀行業務とは少し異なっていて、従来の銀行は、企業の過去の実績を評価し、それに基づいて融資の判断をしていました。しかし、スタートアップ企業の場合、過去の実績が少ないため、将来性や成長の可能性に目を向ける必要があります。リスクはありますが、成長をサポートできる点が大変魅力的です。
スタートアップ企業の支援を通じて、その成長を見守り、伴走しながらハンズオンで支援していくのは、非常にやりがいがありますよ。また、これまで私たちがコンサルタントとして行ってきた販路拡大や成長支援のノウハウが、スタートアップ企業の支援にも活かせるのが銀行の強みです。
こうした支援活動を通して、今後も県内の事業者様やスタートアップ企業の成長をサポートしていきたいと考えています。
沖縄経済を支える未来〜地域発展への思いと金融の役割〜
ーー今後、お仕事を通じて神谷さんが作りたい社会を教えてください
銀行に入行したきっかけの一つに、沖縄県の経済に貢献したいという強い思いもありました。銀行員として、どうにかして沖縄の発展に寄与したいと考え、この道を選びました。
特に、シンガポールでの経験が大きく影響しています。例えば、販路拡大の支援を通じて、沖縄が観光立県として観光業をさらに発展させることで、県民の所得向上に繋がると感じています。
県民が豊かになるためには、地域のブランド力を高め、お金が循環する仕組みを支えることが重要です。このサイクルがうまく回れば、沖縄の経済もより発展していくと考えております。
金融機関として、この経済サイクルを支えるのが使命だと感じており、それが私のモチベーションにもなっています。
今後も、沖縄経済を支えるために、側面から積極的にサポートしていきたいと考えています。これまでの経験や知識を活かして、県の発展に貢献していければと思っています。
ーーありがとうございます!将来、銀行員を目指している、または銀行員を視野に入れている学生にアドバイスをお願いします。
銀行を目指すなら、「銀行で何をしたいのか」「県経済をどう活性化させたいのか」など、具体的な目的を持つことが大切だと思います。
課題意識をしっかりと持ち、それに対してリーダーシップを発揮していく姿勢が求められます。そうした学生には、ぜひ色々なことにチャレンジしてほしいですね。そして、そういった考えを持つ方々と一緒に働きたいと思っています。
自己研鑽に励み、自分の知識やスキルを高めたいと思う方は、銀行にぜひ挑戦してみてください。自分の成長を通じて、県経済に貢献したいという意志を持っている方には、さまざまな挑戦の機会があると思います。
まだ銀行に絞り込んでいない学生もいるかもしれませんが、私自身もそうでした。まずは広く業界を知るために、OB訪問や就活イベントに参加してみてください。
無料ですし、多くの経験を積むことで、自分が「プレイヤー」になりたいのか「サポーター」になりたいのかが見えてくるはずです。
私自身は、プレイヤーというよりも支援者として、たくさんのプレイヤーをサポートしたいという思いが強く、銀行を選びました。
ただ、これは他の職種でも可能ですし、幅広い職場体験を通じて知見を広げることが重要です。その上で、自分に合った道を選ぶと良いと思います。
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